ケアマネ実務研修で実感したアセスメントの大切さ

ケアマネ実務研修でアセスメントの大切さを学び、利用者の生活や課題を整理する様子を描いたイラスト ケアマネ実務研修

結論、ケアマネ実務研修で最も大切だと感じたのは、アセスメントです。

実務研修を受ける前の自分は、ケアマネの仕事について、

「利用者に必要な介護サービスを考えて調整する仕事」

というイメージを持っていました。

もちろん、サービスの調整もケアマネの大切な仕事です。

しかし、eラーニング、Zoom研修、事例課題、現場実習、ケアプラン作成を経験する中で、それだけではケアマネジメントとはいえないことが分かりました。

利用者はどのような生活を望んでいるのか。

今、何に困っているのか。

その困りごとは、なぜ起きているのか。

本人ができていることや、大切にしていることは何か。

こうしたことを丁寧に確認し、必要な支援につなげていくための土台となるのが、アセスメントです。

研修の最後に講師が話していた、

「アセスメントに始まり、アセスメントに終わる」

という言葉が、特に印象に残っています。

この記事では、ケアマネ実務研修を通して学んだことや、アセスメントの大切さを実感した理由についてまとめます。

ケアマネ実務研修は、試験勉強とは違った大変さがありました。実際に受講して感じた負担や、特に大変だったことはこちらの記事で紹介しています。

関連記事:ケアマネ試験より実務研修の方がしんどかったリアルな話

この記事でわかること

この記事では、以下の内容をまとめています。

  • ケアマネ実務研修を通して学んだこと
  • アセスメントが大切だと感じた理由
  • 情報収集とアセスメントの違い
  • 課題の優先順位を決める難しさ
  • 本人と家族の意向が違う場合の考え方
  • アセスメントからケアプランにつなげる難しさ
  • 今後ケアマネとして学び続けたいこと

なお、研修内容や使用する様式は、都道府県や研修実施機関によって異なる場合があります。

この記事は、自分が実際に受講した実務研修での体験をもとに書いています。

研修前はアセスメントを「情報収集」だと思っていた

実務研修を受ける前から、「アセスメント」という言葉自体は知っていました。

本人の身体状況、病気、生活環境、家族構成、サービス利用状況などを確認し、必要な支援を考えるためのもの。

その程度の理解はありました。

ただ、今振り返ると、アセスメントを単なる「情報収集」に近いものとして捉えていたと思います。

病名は何か。

歩けるか。

食事は取れているか。

薬は飲めているか。

家族の支援はあるか。

もちろん、こうした情報はすべて大切です。

しかし、項目を埋めて情報を並べるだけでは、利用者の生活を理解したことにはなりません。

実務研修で何度も事例に取り組む中で、

その情報が、本人の生活にどのような影響を与えているのか

まで考える必要があると分かりました。

自分が受講した実務研修は、eラーニングやZoom研修、現場実習などが約3か月にわたって続きました。研修全体の流れはこちらの記事にまとめています。

関連記事:ケアマネ実務研修の3か月の流れとスケジュールまとめてみた

アセスメントは利用者を理解するためのプロセス

研修の最後に、講師から、

「利用者を理解するにはプロセスを踏む必要がある」

という話がありました。

この言葉も印象に残っています。

利用者から話を聞いたからといって、すぐにその人を理解できるわけではありません。

病気や身体状況だけを確認しても、その人がどのように暮らしてきたのかまでは分かりません。

本人の言葉。

家族の言葉。

実際の生活環境。

サービス利用時の様子。

医療機関や事業所からの情報。

こうした情報を一つずつ確認しながら、

「なぜ今の状況になっているのか」

「本人は本当はどのような生活を望んでいるのか」

を考えていく必要があります。

アセスメントは、一度質問して答えを得れば終わるものではありません。

利用者との関係を築きながら、少しずつ理解を深めていくプロセスなのだと感じました。

困っていることではなく、その原因を考える

講師からは、

「困っている原因をマネジメントする力が必要」

という話もありました。

たとえば、利用者に転倒歴がある場合、

「転倒しないように見守りを増やす」

と考えるだけでは十分ではありません。

なぜ転倒したのか。

筋力が低下しているのか。

歩行時にふらつきがあるのか。

急いで行動することがあるのか。

住環境に危険な場所があるのか。

薬の影響や体調不良はないのか。

原因によって、必要な支援は変わります。

また、転倒を心配するあまり、本人が歩く機会を減らしてしまうと、筋力低下につながる可能性もあります。

「転ばないようにする」だけではなく、

本人が今の生活を続けるために、安全に歩行を継続するにはどうすればよいか

まで考える必要があります。

目の前の困りごとだけを見るのではなく、その背景や原因を考える。

これがアセスメントの大切な部分なのだと学びました。

本人が「困っていない」と言う場合もある

現場実習では、本人が現在の生活について、

「特に困っていることはない」

と話す場面がありました。

一人で自由に生活できていることに満足し、今の暮らしを続けたいという思いがありました。

一方で、支援者側から見ると、

  • 転倒の不安
  • 服薬や体調管理
  • 外出機会の減少
  • 家族との関係
  • 夏場の暑さへの対応

など、今後の生活に影響しそうな点も見えてきます。

本人が困っていないと言っているから、課題はない。

そのように単純に判断することはできません。

ただし、支援者が見つけた課題を一方的に押しつけることも違います。

本人がどのような生活を望んでいるのかを中心に置きながら、

その生活を続けるために、今後どのようなリスクがあるのか。

何を支えていく必要があるのか。

本人が受け入れられる支援は何か。

を考える必要があります。

アセスメントとは、本人の言葉を否定することではなく、本人の思いを大切にしながら、生活全体を見ていくことなのだと思いました。

現場実習では、利用者本人への面談や担当ケアマネへの聞き取りを通して、生活全体をアセスメントしました。3日間の実習内容や作成した書類については、こちらの記事で詳しくまとめています。

関連記事:ケアマネ実務研修の現場実習でやったこと|3日間の内容と学び

本人と家族の意向が違うときの整理が難しい

実務研修で特に難しいと感じたのが、本人と家族の意向が違う場合です。

本人は、今の自宅で生活を続けたい。

家族は、転倒や体調悪化を心配し、より手厚い支援や施設入所を考えている。

どちらの思いにも理由があります。

本人の希望だけを見れば、家族の不安が置き去りになります。

家族の希望だけを優先すれば、本人の自己決定が守られません。

実習先の担当ケアマネからは、最終的には本人の意向が大切であることを教えてもらいました。

そのうえで、いきなり支援を押しつけるのではなく、

「試しに、このようなサービスを使ってみるのはどうですか」

と選択肢を示し、本人が決められるように関わることも大切だと聞きました。

本人と家族の意向が違う場合、すぐにどちらか一方へ結論を出すのではなく、それぞれがなぜそう考えているのかを整理する。

これもアセスメントの重要な役割なのだと思います。

本人や家族、多職種の意見を整理して支援方針を共有する場として、サービス担当者会議があります。研修でケアマネ役を担当したロールプレイの体験は、こちらの記事で紹介しています。

関連記事:ケアマネ実務研修のロールプレイ体験談|サービス担当者会議での学び

課題の優先順位を決めるのが難しかった

利用者の情報を整理すると、さまざまな課題が見えてきます。

  • 転倒リスク
  • 体調管理
  • 服薬管理
  • 外出機会の減少
  • 独居生活の継続
  • 家族との関係
  • 本人と家族の意向の違い

どれも無視できない内容です。

しかし、ケアプランですべてを同じ重さで扱うわけにはいきません。

本人が望む生活を続けるために、今もっとも優先すべきことは何か。

そこを考える必要があります。

自分が実習事例で特に悩んだのも、この課題の優先順位でした。

最終的には、

  • 今の在宅生活を続けるための転倒予防
  • 服薬や血圧、暑さ対策を含めた体調管理

を中心課題として整理しました。

本人の希望が在宅生活の継続であれば、その生活を妨げる可能性が高い課題から考える。

このように、本人の望む生活を基準にすると、課題の優先順位が少し見えやすくなりました。

ICFで生活全体を見る難しさ

実務研修では、ICFを使って利用者の情報を整理しました。

健康状態、心身機能・身体構造、活動、参加、環境因子、個人因子に分けて考えます。

最初は、

「この情報はどこに書けばよいのか」

と迷うことが多くありました。

活動と参加の違いが分かりにくかったり、健康状態に情報を詰め込みすぎたりすることもありました。

ただ、何度か作成する中で、ICFは利用者を病気や介護状態だけで見ないためのものだと感じました。

病気があっても、本人なりにできていることがあります。

家族との関係が良くなくても、本人が大切にしている生活があります。

外出が減っていても、本人が無理のない範囲で歩こうとしていることがあります。

できないことや問題だけを見るのではなく、

  • 本人ができていること
  • 本人が大切にしていること
  • 支えになっている環境
  • 生活を妨げている要因

を整理する。

ICFを使うことで、利用者の生活をより広い視点から見る必要があると学びました。

アセスメントからケアプランまで一貫させるのが難しい

実務研修では、基本情報を整理したあと、ICF、課題分析シート、居宅サービス計画書、課題整理総括表などを作成しました。

特に難しかったのは、それぞれの様式に整合性を持たせることです。

アセスメントで把握した内容。

課題分析シートで整理したニーズ。

長期目標と短期目標。

短期目標を達成するためのサービス内容。

これらが一本の線でつながっていなければいけません。

たとえば、課題分析シートで転倒予防を中心課題にしているのに、ケアプランの目標やサービス内容が転倒予防につながっていなければ、整合性が取れません。

また、体調管理を課題にするなら、服薬、血圧、水分摂取、暑さ対策など、アセスメントで把握した情報が計画にも反映される必要があります。

一つの様式を直すと、ほかの様式も修正が必要になることがありました。

この作業は大変でしたが、アセスメントからケアプランまでの流れを理解するうえで、とても大切な経験になりました。

実務研修で実際に作成した課題や提出書類については、こちらの記事でまとめています。

関連記事:ケアマネ実務研修の課題は大変?提出書類まとめ

ケアプランは本人や家族にも伝わる言葉で書く

実習先の担当ケアマネから学んだことの一つが、ケアプランの言葉選びです。

ケアプランは、ケアマネや専門職だけが見る書類ではありません。

本人や家族も確認します。

そのため、専門用語を並べるのではなく、本人や家族が読んで分かる言葉で書く必要があります。

たとえば「認知症」とそのまま書くのではなく、「物忘れ」と表現する。

相手が読んだときに、どのように受け止めるかまで考える必要があります。

頭の中で理解できていても、それを適切な文章にするのは簡単ではありません。

最後のZoom研修では、

「文章化、表現の引き出し、言語化は一朝一夕ではできない」

という話がありました。

ケアマネには、利用者の生活を理解する力だけでなく、それを本人や家族、多職種に伝わる言葉にする力も必要なのだと感じました。

「困る力」が考える力になる

実務研修中は、何度も手が止まりました。

何を課題にすればよいのか分からない。

本人と家族の意向をどう整理すればよいのか分からない。

ケアプランの目標がうまくつながらない。

文章にしようとしても、適切な言葉が出てこない。

そんな場面が何度もありました。

研修の最後に、講師から、

「業務をしていくと困ること、悩むことにぶつかる。でも、困る力が考える力になる」

という話がありました。

困らないことが大切なのではなく、困ったときに考えることが大切なのだと思います。

すぐに正解が出なくても、利用者の情報を見直し、本人の意向に戻り、課題と目標のつながりを考える。

その繰り返しが、ケアマネとしての力になっていくのだと感じました。

0から1を作る経験が力になる

講師が話していた、

「0から1を作ることはストレスがかかる。これをやることが力になる」

という言葉も印象に残っています。

何も書かれていない課題分析シートやケアプランに、最初の文章を書くのは大変です。

最初からきれいな文章や、完成された計画を作ることはできません。

まずは分かっていることを書いてみる。

本人の意向を整理してみる。

仮でもよいので、課題や目標を入れてみる。

そこから、内容を見直して修正していく。

この作業を繰り返すことで、少しずつ形になっていきました。

実務研修は課題が多く大変でしたが、この0から1を作る経験そのものが、ケアマネジメントを学ぶために必要だったのだと思います。

課題は最初から完成を目指すのではなく、まず文章にしてから修正することを意識しました。仕事や家事と両立しながら研修を進めた方法は、こちらの記事で紹介しています。

関連記事:ケアマネ実務研修を働きながら受けるコツ|3か月を乗り切った体験談

ケアマネは介護サービス調整員になってはいけない

研修の最後に講師が話していた言葉の中で、もっとも印象に残っているのが、

「ケアマネは介護サービス調整員になってはいけない」

という言葉です。

ケアマネの仕事には、デイサービスや訪問介護、福祉用具などのサービスを調整する業務があります。

しかし、サービスを組み合わせることだけが目的ではありません。

先にサービスがあるのではなく、まず利用者の生活があります。

本人がどのように暮らしたいのか。

その生活を妨げている原因は何か。

どのような支援があれば、本人の望む生活に近づけるのか。

その結果として、必要なサービスを選ぶ。

この順序が大切なのだと学びました。

サービスを使うこと自体が目的になってしまうと、本人の生活や意向が置き去りになる可能性があります。

アセスメントを通して利用者を理解し、その人に必要な支援を考える。

これがケアマネジメントの基本なのだと思います。

実務研修を通してケアマネへの見方が変わった

実務研修を受ける前は、ケアマネの仕事をサービス調整やケアプラン作成を中心に考えていました。

しかし、研修を終えた今は、ケアマネの仕事に対する見方が変わりました。

ケアマネは、

  • 本人の生活を理解する
  • 本人と家族の思いを整理する
  • 困りごとの原因を考える
  • 多職種から情報を集める
  • 本人に必要な支援を組み立てる
  • 分かりやすい言葉で共有する
  • 状況の変化に応じて見直す

仕事なのだと思います。

そのすべての土台にあるのがアセスメントです。

一度ケアプランを作れば終わりではありません。

モニタリングで変化を確認し、必要であれば再びアセスメントを行い、支援内容を見直していく。

だからこそ、

「アセスメントに始まり、アセスメントに終わる」

のだと、研修を通して実感しました。

今後も言語化する力を身につけたい

実務研修を終えたからといって、アセスメントやケアプラン作成が十分にできるようになったわけではありません。

むしろ、自分に足りない部分が多く見えました。

利用者の言葉の背景を考える力。

課題の優先順位を見極める力。

本人と家族の意向を整理する力。

アセスメントした内容を、分かりやすい文章にする力。

こうした力は、一度の研修ですぐに身につくものではないと思います。

講師が話していたように、文字に触れ、アウトプットを続けることが大切です。

このブログを書くことも、自分にとっては言語化の練習になっています。

研修で学んだことを文章にし、改めて振り返ることで、自分が何を理解し、どこで悩んだのかを整理できます。

今後も、学んだことをアウトプットしながら、少しずつ表現の引き出しを増やしていきたいと思います。

まとめ|アセスメントは利用者の生活を理解する土台

ケアマネ実務研修を通して、アセスメントの大切さを実感しました。

アセスメントは、単に利用者の情報を集めて様式を埋めることではありません。

本人がどのような生活を望んでいるのか。

今の生活で何が起きているのか。

困りごとの原因は何か。

本人ができていることや大切にしていることは何か。

こうしたことを一つずつ整理し、必要な支援につなげるためのプロセスです。

実務研修では、課題の優先順位、本人と家族の意向の違い、様式同士の整合性、文章化の難しさなど、さまざまなことに悩みました。

しかし、その悩んだ経験こそが、考える力につながるのだと思います。

ケアマネは、介護サービスを調整するだけの仕事ではありません。

利用者の生活を理解し、その人らしく暮らすために必要な支援を考える仕事です。

そのためには、アセスメントを続け、利用者への理解を深めていく必要があります。

実務研修は大変でしたが、ケアマネジメントの考え方を学ぶ大切な経験になりました。

これからも、

「アセスメントに始まり、アセスメントに終わる」

という言葉を忘れず、利用者の生活を理解するために考え続けられるケアマネを目指していきたいと思います。

ケアマネ実務研修の期間・課題・現場実習など、全体の流れはこちらの記事でまとめています。

関連記事:ケアマネ実務研修とは?期間・課題・実習の流れを体験談から解説

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